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越後国、ミニ散歩

 夏休みをとっていて、さて、稲刈っちまおうかと算段していると。

 こしひかりの刈り取りには、まだ早いがなあなどと。

 思案していると、母親が、
 
 日を重ねるごとに、米は重くなるから、待てやという。

 となりのうちは朝からぶんぶん刈っている。

 迷った時は逃げるが勝ちだ・・・・・・・散歩に出よう、温泉行こう。


 旅の始まりだ。

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 南に行く予定が北になり、渋滞していて辟易し、東に向かい。

 阿賀野市安田の町につく。

 市場やってるなあー

 しばし見学する。

 市場通りのお寺に行って、大好きな墓石を眺め始めると、若い住職が鉢ものをいじっている。

 「こんちわ」

 「立派なお寺ですね」

 永平寺で修行して、その後横越の沢海で修行してこられたとのこと。

 「曹洞宗ということは武家の系統ですかね」

 「ここ近辺は、7ケ寺とも禅宗です、安田に城がありましたからでしょうか」

  などと、民俗学的に話が進む。

 「時にわかれぱでよいのですが、知覧特攻記念館に当地の長谷川武弘さんのお名前があって、調べて見たいと思ってまして、何かおわかりですか」

 「安田に長谷川姓は少ないですが、心当たりはないですねえ、向こうのお寺の方に数軒檀家さんがいるようです」

 と、おしえてくれた。

 来たついでに、行ってみるか。

 5分ほど離れたお寺様は、これまた禅宗で、安田斎藤家の菩提寺である。

 墓場をぐるりと見渡して、とんがった柱風の墓石を眺める。

 石やさんが、作業しているので話しかける。

 「うちの墓石もそっくりかえってきて、こまっているんですよ」

  石やさんの話を聞けば、最近ステンレスでできた塔婆立てがはやっていて、細工しているという。

 「うちは門徒ですから、塔婆には縁がないなあ」

 世間話ついでに、ふと言ってみる。

 
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  「時にわかれぱでよいのですが、知覧特攻記念館に当地の長谷川武弘さんのお名前があって、調べて見たいと思ってまして、あのへんに長谷川さんという墓があるのですが、何かおわかりですか」

 「おおー、聞いたことがある、今はやめたけど、あそこんちも石やしてたんだ、知覧に新潟の人の名がのっていて、長谷川さんだというの知ってる知ってる、ここの檀家かなあー」

 「妹さんは水原に嫁いでいる、寺社のほうに住んでる長谷川さんだ、よし、住職に聞いて見てやるさー」

 ぱっと、開けた瞬間だった。

 今度はこちらの住職様と、おお奥様が出てこられた。

 「この人ね、特攻で死んだ長谷川さんの墓探しに来たんだと、寺社の長谷川石やさんはこちらの菩提寺でしたかねえ」
 大奥様は、知覧に2回ほどいったらしく、奥からパンフをもってこられた。

 「安田は、だいたい新発田16連隊と仙台鎮守府、あとは舞鶴で海軍だねえ」

 長谷川武弘さんの話は知らないようだったが、寺社にはお寺が二つあって、真言宗の大きな寺があるので、そちらに行ってみるとよいといわれた。
 寺社は国道の反対側、安田の北側の集落である。

 10分ほどバイクに乗る。

 越後巡礼の看板、さすがは弘法様のお寺だな、だだっぴろいやこちらは。

 とんがり柱の古い墓石、4.5柱、並んでいる。

 「あった」

 合掌。

 長谷川武弘。
 特攻隊員、新潟県安田村、昭和20年4月沖縄島付近で戦死。昭和32年建立。
 若い御霊なり。

 ノモンハンの柱、河北省の柱、豆満江の柱、フィリッピンが続く。 

 あわせて合掌。

 (知覧の記録はこちらから)


 その後は。

 普通の日どおり、お昼に食堂のラーメンをすすり、宝珠温泉に入って昼寝して、本を読んで時を過ごした。


  

越後国、ミニ散歩_e0034554_19471180.jpg


 死んだ先祖たち、日本国のために死んだ人には、寿命とか天寿を全うしたという言葉があわない。

 だから、われわれは、ありがとうございましたといって、お礼としてお参りするのだ。

 最初の墓石にある長谷川さんも、この長谷川さんにも、

 「おかげさまで、われわれは生きています」

 という。

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 おいらは、民族学は好きな方である。

 墓参りを民俗学というかどうかは、わからないが。
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by kbmn37gnkds | 2011-09-09 18:14 | 茶がらけ日記
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