カラス捕獲作戦。
・・・・・・・・・が、続く。
C地点
ねじりタイプドーナッツ55円。
「正直、食いたい」
わなを仕掛けたその男は、呟いた。
D地点
ソーセージまよパン、105円。
賞味期限5月7日、添加物多量。
きちんと品質表示してある。
「おれ、いま、食いたい」
その男は、ここでもつぶやいた。
また。
福島の世界広大様から、わなを隠す知恵を働かせてというアドバイスをもとに、スコップで土寄せしたやうだ。
その男は。
覆面をしている。
スクーターのバックミラーに、顔が写っていた。
付け加えておく。
その男は、昨日仕掛けて行った、円形ドーナツを引き上げて行き、自宅で食べたようだ。
「おさがりをいただく」
「お供え物をいただく心境だ」
などと、言っている。
その男は。
行きつけの酒屋にいって、カラス情報を集めに行ったようだ。
ビニールハウスのねずみ退治に、毎朝トースト焼いて運んでやったという北場のH川さんのこと。
お店の玄関に、みせしめカラスをぶらさげていた勘三郎さんの話。
理美容学校の教材に使ったマネキン顔を、畑にたてている黒鳥部落。
田んぼに本物のマネキンがほしい。そいつに鍬を持たせてやりたい。
ホームレスを住みつかせてはどうか。
カラスを捕まえるパンを仕掛けるよりも、朝定食を運んでやれば、本物の人間が住みついて、カラスを見張ってくれるはず・・・とか。
人間の知恵が発展してゆく。
その男は、自分の田んぼを鳥害から守るために必死なのだ。
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